S F や ホ ラ ー が す き
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ただいまコメントを受けつけておりません。
今はめったに見なくなったが、90年代後半~2000年初頭にかけてCDには<A面・B面>が存在していたと思う。
A面は、マス(大衆)層を意識し<売れる要素>をアプローチした楽曲。
対するB面は、ニッチ層を意識した<マニアックな要素>がウリの楽曲。そんな感じの区別だった。
A面・B面が存在することで、アーティストは商業の場でも、オルタナティブ的な実験をすることが出来、そのことは我々消費者に<商業的>とは別の<異角度的>な刺激をすんなりと投与してくれたような気がする。
けれどそのようなA面・B面の区別も、以前ほどの価値は無くなったように思う。高度に情報化された現代社会では商品の種類も選択方法も陳列方法も多様化したからだ。
PVや動画の配信サービス、音楽専門チャンネル、インターネットに連なる個人HP、WEB掲示板、メールマガジン、SNSサービスなどなど・・・。
ポピュラーとマニアックの区別は<市場の多様化と煩雑化>の元に、飽和と均衡の熱平衡を起こしているのではないか。
そのような<熱平衡の時代>の中で、作品に対して<商業的>や<マイナー>や<特定の読者を意識した作品>などをラベリングする事に然程の意味は無い。
しかし、このような長い前置きの上に あえて”B面的な”というラベルを是非とも冠したい作品がある。
手塚治虫さんの漫画『ミッドナイト』である。
『ミッドナイト』は、深夜営業のタクシードライバーと乗客との人間模様を、”一夜”という縛りの元に描いた作品だ。
主人公のミッドナイトはタクシードライバー。しかし、タクシーの営業免許を持っていない為、深夜にのみ営業。勿論、旅客運輸企業に属することも出来ない為、個人で経営している。
「個人経営の深夜タクシー」。こんなに ネタに困らない職業 をチョイスした手塚さんのセンスも流石だが、ミッドナイトが<B面>たるゆえんは主人公の設定にある。
<モグリ>のタクシードライバーで、一匹狼。
そう、アイツと同じである。
同氏の漫画『ブラックジャック』に登場する、<無免許>の天才外科医ブラックジャック。
日本一有名な医者だ。
『ブラックジャック』と『ミッドナイト』では<主人公がモグリ>という点が共通しているばかりでなく、<一話完結スタイル>や<金次第でイロイロやる>ところなども共通している。
『ブラックジャック』がポピュラーになり<A面>として扱われる一方、作品のファンなら対する<B面>も欲しいと思うのが人情だろう。そんな方へのオススメが『ミッドナイト』だ。
あらゆるシーンで『ブラックジャック』との裏と対偶を味わえるかと思う。
例えば、『ブラックジャック』は(僕の知る限り)決定的な最終回というものが無いが、『ミッドナイト』は完結している。そしてその幕の引き方は、かの手塚ノイローゼ作『アラバスター』を越える衝撃だった。個人的に。