井田屋文夫さんの著書『物理のしくみ』が面白くて仕方ない。
あたしのようなばかちんにも解りやすく書いてあって、特別難解な言葉も用いない。
なんだか物理の本というより著者による”小話”を聞いているようで、あちゃしとしては非常に読み良かった。
前文にある、「物理とは数式ではない。言葉なんだ(挙書引用/P4)」「物理は知識ではなく考え方を教えてくれる学問なんだ(挙書引用/P3)」という文にも非常に感銘を受けました。
さて(実は何回も繰り返して読んでいる本なのですが)、今日読んでて感動した部分を折角なので(日記ですし)メモしておこうと思う。
●今日のヘッポコメモ●
・天動説→地動説への移行について、功労者はそれぞれ
<アリストテレス(B.C.384生)→プトレマイオス(2世紀頃)・・・天動説>
<コペルニクス(1473生)→ブラーヘ→ケプラー(1571)→ガリレオ(1564)→ニュートン(1642)・・・地動説>
・中でも地動説におけるブラーヘ→ケプラー間の受諾がアツイ!!!
~以下非常に個人的な趣味としての「ブラーヘ→ケプラー間受諾」に対する解説~
時は17世紀初頭 ブラーヘの弟子であったケプラーは、ブラーヘの死後、観測データを受け継ぐ。
ケプラー、ブラーヘの研究とは逆の立場(=地動説)で調査を進める。
すると、火星の軌道が円だとすると辻妻の合わない部分(つまり誤差)を発見!
その誤差なんと、8分の1度(1分=1/60度)!!!
おそろしく小さな誤差である。ひょっとしたらそんな誤差は、ブラーヘのとっつあんが観測し間違ったものかもしれない。
が・・・・!!! ケプラーはそう考えなかったッツ!!!
ブラーヘの観測結果を信じ(といってもおそらくケプラー自身、助手として参加はしていただろうが)、8分の1度という誤差に真摯に立ち向かっていったのである。
マクロの世界に住む私としては、こんなせまちい誤差など、ほんと、「誤差? あっそー、気のせい、気のせい。つーか、きっとどっちかの観測がヘマったんじゃね?」で、済ませてしまえば楽なのになぁ、と思う。
とにもかくにも、この、たった8分の1度という瑣末な誤差から、火星はそれまで考えられていた”円軌道”ではなく、”楕円軌道”ということが導き出された(ケプラーの第1法則)。
著者はこれを、感動的な(考え方の)大転換といっているがまさに自分もそう思う。
しかし、僕がそれ以上に感動的と思ったのが、ケプラーとブラーヘの美しい師弟関係。
ケプラーはブラーヘの観測結果を信じたからこそ、誤差を誤差として、真摯に研究し、新説表明に至った。
この、「人の仕事を信じる」という行い、まさに師弟関係の滾り薔薇!!
ウーム、アツイ・・・。などと思っていたら、よくよく考えるとブラーヘとの共同研究により発見された「法則」に冠せられた名は、第三法則までずーっと「ケプラー」。
おい!ケプラー!! ブラーヘの名は!!?
この機会にぜひとも皆様にもブラーヘを知っていただきたい。
そして僕はこれから「ケプラーの法則」を「ティコ・ブラーヘに捧ぐ、ケプラーの法則」と言うことにする。
ああ、ブラーヘのとっつあん。せちがらいねぇ。次代の若者ってぇのはよ。